転職回数が多いと転職で不利になる
転職回数(職歴)が増えるほど転職先の選択肢は狭まり、転職は難しくなります。理由は後述しますが、転職回数の多い人材は企業の採用担当者にネガティブな印象を持たれます。
採用担当者が気になり始める転職回数は2回(職歴3社)以上と言われています。今回のコラムでは転職回数が転職活動に与える影響と対策、そして転職を繰り返さないためのポイントを紹介します。
なぜ職歴が多いと転職で不利になるのか?
定着しないで辞めてしまうリスクが高いから
企業は、転職を繰り返す人材を「転職する抵抗感が薄い」「離職のリスクが高い」と捉える傾向があります。採用にかかる費用は大きいため、活躍せずに辞めてしまうと損失は度し難く、企業は転職回数の多い人材を敬遠しがちです。
転職理由に整合性を感じないから
中途採用の面接では転職理由を質問されます。これは採用のミスマッチを未然に防止する目的以外に、転職理由の整合性を確かめる意図があると考えられます。転職回数に比例して転職理由の説明のボリュームも増えるため、論理的な矛盾が生まれたり、誤解される危険性も高いです。
人事が経営者に説明できないから
人事は、応募者の合否の根拠を経営者(決裁者)に説明しなければなりません。定着しないリスクを覆すほどのリターンを期待できる人材であれば別ですが、合否の当落線上という評価であれば、リスクを嫌って不採用とすることもあるでしょう。
なぜ転職を繰り返してしまうのか?
勤務先にギャップや不満を感じるから
転職の動機は、企業(所属先)に対するギャップもしくは不満です。自分が何に不満を感じていて、その原因は何かを理解しなければ、転職しても同じような不満に悩み続けることになります。たとえば以下のような原因が考えられます。
- 仕事内容のギャップ・不満
- 職場環境や社風のギャップ・不満
- 業界の展望や、将来性のギャップ・不満
- 働き方や待遇のギャップ・不満
まずは不満の原因はどこにあるのか、捉えることから始めてみましょう。
職業のイメージ先行で、具体的な仕事内容を把握していない
職業に対する憧れやポジティブなイメージが先行して、具体的な仕事内容を把握していなかったことによるギャップも退職理由になります。
たとえば「コミュニケーションが苦手」という理由で「プログラマーの仕事をしたい」という人がいたとします。これは「プログラマー=コミュニケーションの機会が少ない」という誤解をしています。
プログラマーは、設計書をもとにパソコンの前でプログラミングコードを入力するイメージがあるかもしれませんが、実際は、クライアントの要件に応えるシステムを提供するために、社内外の関係者と議論や調整を重ねながらプロジェクトを進めていきます。コミュニケーションの不足は、失敗や手戻りの原因です。
社風が合わなかった
「社風や職場の雰囲気に馴染めなかった」という人もいます。たとえば、体育会系の職場が肌に合わないという話です。体育会系の職場には次のような特徴があります。
- 上下関係を重んじる
- 覇気や勢いを好む
- ウェットな関係を構築する
- 苦労や達成感を共有する
体育会系の職場を居心地が良いと感じる人もいれば、できれば避けたい人もいるでしょう。「企業は人なり」の格言があるように、そこで働く人々が社風を醸成していると言えます。どんな人が働いているのか事前に知っておくとミスマッチを避けやすいです。
解決策
価値観の相違と捉えて割り切る
転職回数の捉え方は企業によって異なります。「一定以上の転職回数の人材を足切りする企業」もあれば「転職回数よりも転職理由やキャリアの中身を重視する企業」もあります。
応募者の転職回数で判断するのは、採用する企業側の都合です。転職回数の多寡ですべての価値が決まるわけではありません。転職回数で足切りを行う企業とは、そもそも価値観がズレている可能性が高く、縁が無かったと思って割り切る気持ちも必要でしょう。
現職の不満や課題を解決する術はないか考える
とはいえ、転職回数が増えれば転職先の選択肢が狭まるため、転職回数はいたずらに増やさないに越したことはありません。仕事を辞めることは状況を変える手段の一つに過ぎません。退職を考える前に、まずは現職の不満を解決する手段は無いか検討しましょう。
職業理解に努める
職業の理解がイメージ先行で漠然としていると、入社後にミスマッチが起きやすく、退職に繋がる原因になります。とくに実務経験が無い職業へ転職を考える場合は、応募をする前にまずはインターネットや書籍などで情報を集めて、仕事内容を把握することは重要です。できれば実務経験者の話を伺えればベターですが、難しいようであればキャリアコンサルタントなどの専門家に相談することをおすすめします。