ポジティブな退職理由にもリスクがある
転職の面接において、退職理由は確実に質問されます。このとき退職理由をポジティブに取り繕わなければならないと思うあまり、建前だけを伝えてしまうと「本当にそうなの?」「辞める必要があったの?」と疑われるリスクもあります。
企業が退職理由を確認する意図
退職理由には、応募者の仕事に対する価値観が詰まっています。したがって応募者の退職理由から、企業が求める人物像とのミスマッチが無いか把握する狙いがあります。
ポジティブな退職理由が望ましいとされる理由
矛盾を感じる人に対して誠実な印象を持つことは難しいです。たとえば「業績悪化による将来性の不安」や「親の介護」などの不可抗力による退職理由です。もちろん事実の理由であれば問題ありません。しかし中には矛盾を指摘されたくない心境から、捏造をしてしまう人もいるようです。
転職のきっかけの多くは不満から起因する
- 人間関係
- 残業の多さ
- 給与が低い
上記のような前職(現職)に対する不満から、退職をした場合は注意が必要です。面接官は「何らかの不満があった」という前提で退職理由の質問を行います。その答えに不満だらけの退職理由を述べてしまうと、他責思考や逃げの印象が強くなり敬遠されがちです。
『退職理由はポジティブにしましょう』というアドバイスを耳にするのは、不満を並べるようなネガティブな退職理由が好まれないからでもあります。では、退職理由が前職に対する不満だった場合「嘘をつかなければならないのか?」と言うと、そんな事はありません。
状況改善のために行動を起こせたか?
退職理由を伝えるうえで重要なポイントは、不満に対して状況を改善しようと自らアクションを起こしたかという事です。退職理由に対して改善しようと努力した部分もセットで伝えることで、共感を得られる可能性は高くなります。次のような深堀りの質問をされることも想定しましょう。
- 状況改善のために上司へ相談しましたか?
- 配置転換の申し出はしましたか?
これに対して「何も行動していない」と答えるか「行動を起こしたが状況は好転しなかった」と答えるかでは、面接官があなたから受け取る印象に雲泥の差が出ます。結果は同じだとしても、自らが変革のための行動を起こす、その意志が評価されるのです。
具体的な回答例
- 残業が常態化しており、業務効率化の提案を上司に行いましたが「10年かかる」という返答があり、転職を考えるきっかけになりました。
- 慢性的な人手不足で休日も連絡が入るような状況でした。所属長に相談し、増員や配置転換を願い出たのですが取り合ってもらえず、勤続が難しいと判断しました。
本音の退職理由を伝えるのもNGではない
ネガティブな退職理由でも一歩踏み込んだ行動があると、面接官に納得されやすくなります。ポジティブな表現を意識しすぎた結果、退職理由に嘘を盛り込んでしまうことは絶対に避けるべきです。
もしあなたが転職先を選べる立場の場合、あえて退職理由を包み隠さず本音を伝えるのも良いでしょう。本音のフィルターをかけることで、自身の価値観とマッチングする企業を見つけやすくなります。ただしあなた自身の転職市場における市場価値や、選考する企業によっても適切な表現が分かれるところですので、迷ったら転職エージェントと一緒に検討するのも良いでしょう。