業績悪化で収入が減少
新型コロナウイルス関連倒産が増加しています。政府による支援策の終了に加えて、物価や燃料費の高騰が重なったことが一因にあると考えられます。業績悪化となればボーナスが減額されるなど、収入の減少も想定されます。収入が減れば生活水準や将来設計を見直す必要があり、将来に不安を感じて転職を検討し始める方もいるでしょう。
業績悪化は転職理由になる?
業績悪化は転職理由として成立します。ただし伝え方には配慮が必要です。具体的には業績悪化の原因を企業だけに焦点を当ててしまうと、他責な印象を与えてしまい不採用の恐れがあります。会社のメンバーの一人として責任を感じつつ、そのような状況で自身がどのような工夫や取り組みをしてきたのかを必ず伝えるようにしましょう。
辞めるのは簡単、出戻りは困難
労働者には退職の自由があり、辞めること自体は難しくありません。しかし性急な退職は避けるべきです。なかには次の就職先が決まらずに苦労したり、青写真を描いた転職先で「前職の方がマシだった」と感じる人もいます。転職前の状況に戻りたいと思っても現実的には困難なため、退職には慎重な判断が求められます。
辞める前に転職市場を知ろう
転職活動の第一歩は、転職市場を知ることです。退職を検討する前段階に、ご自身にどのような転職先があるか調べてみることをお勧めします。勤務先が業績悪化したとはいえ、勤続していれば昇給もしているはずです。たとえば収入にこだわって転職先を検討する場合、同等以上の待遇で迎え入れてくれる企業はあるでしょうか。転職市場を知ることで「今の職場も意外と悪くないかもしれない」と捉え方が変わる可能性もあります。
業績悪化の転職理由がNGな人
短期間での退職になってしまう
会社の業績は短期的には下がることもあれば、上がることもあるでしょう。たとえば在職1~2年の状況で判断してしまっている場合「採用しても業績が悪くなったら辞めてしまうかも」と、帰属意識の低さを懸念される恐れもあります。
転職先で活かせる経験やスキルに乏しい
転職先で収入を上げる大原則は「利益を生み出す可能性を感じて貰う」ことです。その根拠になるのが、前職までの実務経験やスキルです。同業他社へ転職するのであれば即戦力としての活躍も期待できます。一方で未経験の職務領域が広いほど、採用後の活躍を期待させることは難しいでしょう。将来の選択肢を増やすために現職で力を付ける意識も大切です。
当事者として今できることを考えましょう
業績悪化と転職について解説しました。転職理由に業績悪化を用いることは楽な反面、受け手の解釈によっては無責任に捉えられてしまう可能性があることは承知しておきましょう。業績悪化を会社のせいにするだけではなく、自身もその当事者としてできることが無いか十分に検討し行動に移すことが、転職先で好印象を与える秘訣です。
※出典:帝国データバンク社「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査 (2023年8月21日時点) https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/pdf/tosan.pdf